Mosaic magazine2021掲載
フランスのモザイク雑誌「Mosaic magazine 2021-1 4月発売号」に作品が掲載されました
以下掲載文章の日本語訳
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私は4歳の娘と夫と、東京の小さな森の側にある自宅兼アトリエに暮らして制作しています。窓から森や小鳥の様子が見られます。自転車で出かければ、街や遊園地があります。季節によって遷り変っていく森と街の両方にインスピレーションをもらいながら、「時間」と「存在」について感じることを作品にしています。主にアクリル画とモザイクを制作しています。
私の作品では、生き物のような建造物、植物と一体となった生き物など、境界の曖昧なモチーフが度々登場します。永い時の流れからみれば(元素の組み合わせのパターンの違いという視点で)、人工物も生き物も境界はないのかもしれません。遺跡が植物に浸食されていくように、永い時間を経て物同士が溶け合ってしまうような現象に関心があります。
モザイクは、様々な点の集合で形ができているところが、様々な元素の集合でできている【私たち】(宇宙に存在するもの)に似ていると感じています。
踊りだしそうなタワー(写真:星屑の街のタワー)や、ぐにゃりと体が曲がった観覧車の作品(写真:星屑の街の観覧車)を作りました。時を経て建造物と生き物の境界を越えた神々しい存在になったタワーと観覧車です。
私は大きなタワーや観覧車が好きです。「街を長い間見守っている」存在として、とらえています。それは日本人が、山に神様がいるように感じたり、長く使っている道具に命があるように感じて大事にしてきた感覚に通じるのかもしれません。
パブリックアートでは、海の近くの町の小児病院に、さざえ貝のようなオブジェを作りました(写真:さざえ階段)。階段を上り下りしたり、中に入ることができます。さざえ貝の内側には星空のモザイクを施しました。遊び相手として、時に包み込んでくれる相手として、子供たちを見守る存在になれたらいいと思います。
渓谷を見下ろす高台にある旅館には、渓谷にかかっているトラス橋をモチーフに、橋の体を持つ土地の精霊のような生き物を作りました(写真:橋猫)。気ままな猫のようにふらりと庭に現れて、またどこかに行ってしまうのですが、そんな存在と目があった瞬間のイメージです。
モザイクでは、ベネチアのズマルト、フュージングやバーナーワークで自分で作ったガラス、日本の多治見市で作られているタイル、色々な場所で集めた天然石やビーズなどを組み合わせています。どのパーツも自分で気に入って集めたり、作ったりした宝物です。それをふんだんに使った私の作品全体が私の宝箱でもあります。
(Mosaic magazine 2021-1 4月発売号 掲載文章日本語訳)
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